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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
 


 
「あたしが濡れたのは、ハル兄のせいだよっ!!」




 思わず、言ってしまった。

 恥ずかしさとかそんなものは、もうあたしの頭から消えている。

 完全に怒り任せの衝動的なものだった。


「ハル兄が……格好よすぎたからじゃんかっ!!」

「………っ!?」

「その姿だけでも格好いいのに、キメるところをびしってキメてきて、逆転大勝利なんてしてくれたんだもの、仕方ないでしょう!? あたしだって女なんだからっ!!」


 ハル兄の顔は……まさに鳩に豆鉄砲。


「あんなにひとをぞくぞくするほど魅了しておいて、他の奴なんか考えられる余裕があるなら、そんなの人間じゃないわ!!」 


 ぽっぽー、ぽっぽー。

 ナツのように、頭から花が咲いたような……不可解な鳩の鳴き声が聞こえる気がする。


「俺に濡れた……? あのオトコにじゃなく……?」

「そうよっ!! あの赤の36であたしは濡れ濡れになって、ロイヤルストレートフラッシュでもう洪水で。だから興奮のしすぎで淫魔が騒いで表に出てくるほど、ハル兄のぶっといのが欲しくて欲しくて仕方が無くなって……」


 身振り手振りジェスチャーつきで、そこではっと我に返る。


 濡れ濡れ……。

 洪水……。

 ぶっといの……。



 あたし……。

 お股を広げて、大声でなにを叫んでる?


 これ……逆ギレの一番恥ずかしいパターンだよね?


 逃げ込む穴、掘らせて下さい。


 そしてちらりと見たハル兄は――。


「……熱? 顔真っ赤だけど」


 耳から首筋まで真っ赤だった。

 
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