この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘

女性的な優美な動きをするのに、男性的な荒々しい力強さがある。
純粋無垢な子供のように頼りなげに泣くのに、あたしを翻弄する意地悪い妖艶な大人になる。
正反対の特性を持ちながら、その狭間で夢幻に揺らめいて微笑み続けるのが佐伯奈都という人間で、あたしはきっと、ナツのすべての顔を知らない。
そして新たなナツの一面を見る度に、驚いて惹き込まれていくのだろう。
「ん……気持ちいい……っ、はっ、はっ、はっ……ナツ、ナツ……蕩けそう……」
愛おしさと快感が迫り上がってくる。
「……ああ、その可愛い顔……僕だけのものにできたらいいのに……。ああ……たまらなく可愛い。……我慢してるつもりだったのに……食べちゃいたい。ああ、もう……おいしそうに僕を誘って……んっ……ちゅぱっ……」
ナツが胸の蕾に吸い付いた。
悩ましげなオトコの表情で、じゅるると強く吸い立てた後は、執拗に舌先でころころと蕾を転がし、手で反対の胸を弄ってくる。
口淫と手淫の動きの強さは調和しているようで、実はところどころ不調和で、その不協和音がびりびりとした刺激となって、あたしを悶えさせた。
「ああ、駄目……ぇっ、ナツ、変になりそう……っ」
「……感度……あがってるね、しーちゃん。波瑠兄に……いっぱい愛された?」
悲しそうに言うから、あたしはナツの頭を優しく抱きしめた。
手にふわふわと擽るミルクティー色の髪が、あたしの肌を愛撫している心地となり、息があがって仕方が無い。
「あたし……じゃくて、ナツがうまいの……。ああ……ナツ、他の子に……こんなこと、しないで……ね」
それは無意識から出た嫉妬の言葉。
「モモちゃんと……こんなこと、しないでね……」
「しーちゃん、モモは……」
驚いて口を離したナツに、あたしは言う。
「わかっているの。モモはオトコでナツの大親友だということも」
だけど、思い出して切なくなった。
ナツと同年代の可愛い女の子。
ナツがあたしじゃなくて、そっちに行ってしまったのだと思った時の、あの喪失感。あの悲しみ。
――ナツが欲しいんだろ!? だったら簡単に他の女に渡すな!!
「だけど……。ナツを誰にもあげたくなかった」

