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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘

――しーちゃん、サクラから電話かかってきたら出てね。僕、ウルトラマンが怪獣と闘っている間に、戻ってくるから!
切羽詰まったような顔をして、ナツがお手洗いに消えた。
「……男って大変だ……」
ナツの興奮の処置は、いつものようにあたしはお口でしようとしたのだけれど、それをナツは拒んだ。
――しーちゃんにお口でされたら、気持ちよすぎてすぐ勃っちゃうから、エンドレスになる。本当は……そう言って貰えるのは嬉しいけど。
名残惜しそうにあたしの唇を指でひとなぞり。
――その分……下のお口に挿れられるようになったら、僕、エンドレスで頑張るからね。
爽やかに、恐ろしいことを言い放ってナツは猛ダッシュした。
ひとりになれば小っ恥ずかしい。
ナツに愛された痕跡が残る、しわしわのシーツ。
それを顔を赤らめながら、一生懸命手アイロンで皺を伸ばした。
濡れてる部分は……早く乾きますように。
医務室にしろ、図書館にしろ、現役の学生にとって生活の一部である学舎の一角でエッチすることは、憧れるシチュエーションである。
あたしだって心は高校生のままだから、やはりホテルや家などのお部屋でするよりもドキドキしてしまうんだ。
非日常の素晴らしい部屋も幻想的でドキドキしたけれど、日常風景の中でもまたリアルでドキドキする。
本当に兄弟で選ぶ舞台は、年齢に応じて正反対で面白い。
だが刺激的な舞台を用意するあたりは、似た者兄弟だ。
「モモちゃん、トラブっているのかなぁ」
約束の時間を過ぎているというのに、クソメガネ改めモモちゃんからの連絡がない。
愛の賛歌が鳴り響かない。
書庫で"赤い冊子"探しは知っているようだったけれど、あたしが見た場所は知っているのだろうか。
ふと疑問に思った。
まさか虱(しらみ)潰しに端から見ているとかは……。
連絡して場所を教えてあげようと思ったけれど、書庫に居る彼に電話してもいいものかどうか悩む。
電源切っているかもしれない……。
だけどこっちからワン切りすれば、折り返しかけてくれるかもしれない。

