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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘

そう思い、ナツのスマホを……と思えど、そのスマホの所在が不明だ。
ナツが無実の証明にと差し出したあのスマホ、あたし見るまでもなくただ手に握りしめたまま……このベッドに運ばれてきたけれど、きちんとベッドの片隅に置いた記憶はない。
ナツが気づいてポケットに入れたとか……?
「ナツが持っているのなら、電話かかってきたら出ろなんて言わないよね」
だとしたら、ナツのスマホよいずこに?
床に落ちた形跡もなく、あと考えられるのは……。
あたしは足元に畳まれたままの、恐らくあたしが足でばたばたしたために乱れきった布団の下に手を滑らしたみた。
もしや無意識に、押っつけてしまったとか……。
「ビンゴ!!」
奥深いところにあった、ナツのスマホ。
画面を見ると、不在着信はなく。
画面をスカートで綺麗に拭いている時、発信履歴の画面をいじってしまったようだ。
「え……? モモちゃんへ発信……?」
そう、発信。最新の履歴だ。
不在着信ではなく、こちらからの電話。
しかも通話時間……五分弱という奇妙さ。
それは今から約10分前。時間的には……行為の真っ最中。
あたしもナツも、電話をして通話をしていない。
だとしたら、どういうこと――?
その時ナツが、すっきり顔で帰ってきた。
本当に、ウルトラマンの戦闘中に戻って来たようだ。
「しーちゃん、サクラから電話あった?」
あたしはスマホを差し出しながら、状況を説明した。
「まず、サクラには本があった場所は教えてあるから大丈夫。
それより、確かにこの表示は、通話しているね。僕もしーちゃんも電話していないのにそうなったということは……。僕やしーちゃんの動きで、布団の下にあったスマホの画面が擦れて、通話状態になったとしか考えられない」
「……え。だったら、もしかしてモモちゃん……」
「聞いちゃったかも」
「ええええ!? な、なななな」
布団に埋もれたスマホは、モモちゃんにリアル愛の賛歌を、わざわざお届けしてしまった可能性が高くなった。
もしそうなら――。
うわ、これは完全な嫌がらせだ。
これからどう顔合わせをすればいい。

