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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
 
 ま、そんなことより――。


「あれ……あたしで試されていたとは」

「ごめんね……? しーちゃんが気持ちよくなれば一石二鳥と思って……」


 ナツは両手を合わせて、可愛く"ごめんね"ポーズをとる。
 

「感想はどうだ? ま、聞くまでもないか、あんなによがっていたのなら。だけど性能より、ナツの熱が足りないと言われるとは想定だったな。だったら今度温熱タイプを作ってみるか」


 ………。

 さらりとこいつ、なにを言った?


 ………。

 意味するところを悟り、あたしは悲鳴を上げた。


「ぎゃああああナツ、聞いてるよ、こいつちゃっかり聞いちゃってるよ!!」

「かけてきたのはそっちだろう。まったく『イカサズコロサズ』を図書館で試すだけでは飽き足らず、俺に最中の声を聴かすほどに、ナツのテクだけでは物足りないのか」

「違うよ。しーちゃんは悦んでいる! すごく可愛い顔と声で啼いてるもの! そうだよね、物足りなくはないよね、ね、しーちゃん!!」


 あたしの肩を掴んで前後に揺すぶるナツは必死だ。


 あたしはなんて言えばいいの、モモちゃんの前で。

 スルーしたいけど……こんなに泣き顔のナツをシカトできないし。


「ナツは上手だよ、あたしすぐイッちゃうもの」


 あたしの意志と関係なく、お口が自然に動いてしまう。

 ああ、ナツの泣き顔にとことん弱いあたしは、どうするのがいいのか、体の方がすべきことを知っている。

 ……それに、別に嘘をついているわけではない。本当のことだし……。


 ナツがぱっと顔を輝かせて嬉しそう。


 ぽっ、ぽっ、ぽっ。


 ……あ、ナツの頭に幸せのお花が咲いた。



 こんにちはお花さん、また会えて嬉しいよ。

 今度もとっても綺麗だね……。


 お花に見取れてナツと一緒に微笑み合うあたしは、唐突に背を向けたモモちゃんが、密やかに真っ赤な顔で動揺していたことには気づかない。
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