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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
  
 そして、ふと脱線しすぎている現実を思い出した。


「ああ、それで監視カメラになにか映っていたの?」


 モモちゃんの背中をつんつんと指でつついてみれば、モモちゃんは振り返らずにあたしの手だけをぱしりと払う。


 モモちゃん、なんで深呼吸しているんだろう?

 口に出すのも躊躇われるほどの、凄いのが映っていたのだろうか。


 ごくりと唾を飲み込んで、モモちゃんの返答を待つあたし。

 そしてモモちゃんは少しばかり汗ばんだ顔を手の甲でふきふきしながらこちらに向き直り、言った。


「それらしき本をを持ち出している男が映っていた」


 モモちゃんの手柄話に、お花を萎ませたナツの目がきらりと光る。

 ……幸せのお花さん、またね。


「誰?」

「経営の篠田教授」

「なんで彼が?」

「わからない。が……探りを入れようと、研究室に行ったんだが……いなかった。彼の授業は今日は休講だから、休んでいるのかもしれない」

「自ら休んでいるのか。或いは……休ませられているのか」


 会話が進んでいるのはふたりだけ。

 あたしは置いてきぼりだ。


「あの~。篠田教授って?」


 するとナツは口にするのも厭わしそうに、顔を歪めた。


「タカシくんだよ」


 タカシくん……。


 あたしの目がカッと見開く。


「あの委員長の相手の、よぼよぼぐりぐりタカシくん!?」


 確か今、委員長との仲があまりよろしくないんだっけ。


「タカシ……ああ、篠田孝だったかフルネーム。まぁいい。彼が本を手にしたのは偶然なのか、必然なのかはわからない。だが彼はそれを書庫から持ち出していることは確かだ」


 ナツの目に怜悧な光が灯る。


「だったら、会わないといけないね。無駄な出費だけど仕方が無い」


 そうぼやくとナツはあたし達をつれ、売店の一角にある書籍コーナーから、例のあの……講堂でタカシくんから隠した大きな本を三冊買った。


「ナツ、お前こんなにどうするんだ? 法学部には、この授業は必要ないじゃないか」

「……ないんだけどね。あ、サクラ。今度このサイン本、お前に全部やるから」

「サイン本?」


 ナツは多くを語らず、ため息ばかりついて本を買う。

 うわ、この本……2,800円!?

 ……それを三冊もなんて、確かに痛い出費だ。

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