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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘

 モモちゃんと東京駅で待ち合わせして、ホテルからナツとふたりで駅に向かう。


 ナツが持つのは、ふたつのボストンバック。


「ナツ、合宿っていつ終わるの?」

「……僕の頑張り次第。できるだけ早く、日付変わらない程度に終わらせたいけど、場合によっては連日」

「え、だったら泊まるところはどうしよう? ナツは合宿場があるとして、あたしは……」

「寝る時は僕も戻るよ? ちゃんと」


 ナツは意味ありげに笑いながら、カバンからなにかのチケットを取り出した。


「……そのテーマパーク内のホテル」

「え?」

「売店の二階は、ホテルやツアーなど斡旋してくれるんだ。キャンセル待ちしてた奴を受け取りにいったんだよ、今日」

 ナツが売店に行く用事は、宿泊券を手にすることだったらしい。


「……いつから、予約してたの?」

「スマホ変えた時。だってしーちゃん病室で約束してくれたじゃない。僕が沖縄行く時に。……温泉に僕と行くって」

 東京駅に向かうタクシー内、運転手の目を盗んであたしに啄む様なキスをしてきたナツ。


「覚えてる? 僕が前のスマホの待ち受けにした時の、しーちゃんが着たあの水に透ける水着も持ってきたんだ。同じ種類のひらひら可愛いバージョンも取り寄せたのも持って来たし。勿論透けないのもあるけれど、これはサクラも居る時用にしてね。透ける方は……僕とふたりきりの時に」


 そしてまたちゅっと唇にキスをしてくる。


「……僕、下のお口に挿れられるように、絶対なるから。今まで以上に、愛を深めようね、しーちゃん」


 その顔は、既に妖艶な男の持つものとなっている。


「頑張ったご褒美、しーちゃんからたっぷり貰うからね。楽しみだよ、しーちゃんのナカでイクこと」

 囁かれた耳は甘噛みされる。

 バックミラー越しに、絶対運転手さん見ていると思うのに、あたしは魅入られたようにナツにの艶に取り込まれ、拒めない。


「……サクラと浮気しちゃだめだよ? イイ子で待っていてね?」



 ……ねぇ、ナツ。

 愛を深めるのに、卑猥な水着は必要ですか?

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