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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
  





 東京駅から、箱根テーマパーク行きの列車というものが出ているらしい。

 直通で約1時間30分。


 平日というのに、列車内は凄く込んでいる。

 それくらい、これから行こうとしている場所は人気スポットの施設らしい。


 列車は、既に指定席で乗車券を買ってくれていたモモちゃんのおかげで、無事に乗車できたものの……座席はいらないから安くすませたいという、ドア付近に固まったまま1時間30分をやり過ごそうという乗客が非常に多すぎて驚いた。

 まるでラッシュ時の列車のように、そこだけがぎゅうぎゅうの別世界。

 立つ者、荷物に腰掛ける者とさまざまだ。


 なんでも指定席の券は、自由席より5,000円多く支払うらしい。

 高価すぎるその内訳としては、指定席以外に、テーマパークの中内のレストランで使える食事券が幾らかついてくるらしいが、大体は食事代を浮かそうと弁当持参でくるらしいために、特に若い客などは椅子に座らずに粘るらしい。

 ちなみにテーマパークに入るだけで、7,000円という驚きの高価格。

 入場料に関しては、あたし達はモモちゃんが持つ"株主優待年間パスポート(4名様まで無料)"のおかげで、お財布要らずのよう。

 あたし達に割り当てられた席は、ドア付近で粘る満員乗客のすぐ隣。

 二人席をふたつ真向かい状態に動かして座り、ホーム内の売店で買ったポテチと、旅のお供の定番酢こんぶを食べながらの遠足気分だったのだが、ふとポテチをリスのようにカリカリしているナツが、体を捻るようにしてひとつの方向を見つめていることに気づいた。


 そこに居たのは、ぎゅうぎゅう状態の中に紛れ込んでいた、孫らしき小さい子の手を引いた、おじいさんとおばあさん。

 よたよたで、とにかくしんどそうだ。


「……あのね、お願いがあるんだけれど……」


 ナツの声にすぐ呼応したのは、拡げた荷物をひとつの座席に積み上げたモモちゃん。

 そしてあたしもまた、拡げたお菓子を買い物袋の中に入れて片付けた。


「代わってあげよう」


 あたしとモモちゃんは、ナツが言い出す前に同時に答えた。
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