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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
 あたし達はまだ体力がある。

 精神年齢はともかく、あたしひとりアラサーだけれど、これから温泉に浸かりながら泊まってこれるのなら、多少の無理は出来る。


 ……それにあたし、ハル兄のおかげで……とっても体調がいいし。


 あたし達の申し出にナツは嬉しそうに笑い、人の波を押しのけておじいさんとおばあさんと孫をひっぱり出し、席を譲った。


 三人は酷く恐縮しながらも感激して、あたし達が座っていた席に腰掛けた。あたしが持っていたお菓子を孫ちゃんにあげれば、孫ちゃんが破顔する。それを見ておじいさんとおばあさんは嬉しそうで。

 ……孫ちゃんがポテチより酢こんぶを喜んで食べてたのは、驚いたけれど。

 今ドキの幼稚園児に、人気なのか? 酢こんぶ……。


 ともかく。

 善行をしたあたし達は本当にほこほことした気分で――。


「いいことをして気分がいいとはいえ、これはかなり……」

「ん……覚悟をしていたとはいえ……」

「結構な混み合いだな。荷物を席で預かってくれてよかった」


 想像以上の苛酷な状況だったけれど、いいんだ、それでも。


 優しいナツを見れたのが嬉しいから。

 ナツのおかげで悦ぶおじいさんとおばあさんと孫ちゃんが幸せそうなら。


 そう心では思えど、押し合いへし合いで、肉が捩れて悲鳴を上げる。

 ……あとどれくらい、この中で過ごすんだろう……?


「しーちゃん、こっち……移動出来る?」


 ナツがなんとか人波掻き分けて、あたしをドアドンした。

 そう、背中にドア。あたしの両横にはナツの腕。


 決してあたしは迫られているのではなく、ナツによって人から護られているのだけれど。


 こういう気配りをするナツにきゅんきゅんする。

 女の子はいつでも、王子様に護られたい願望があるもので、ナツというリアル王子様にそれをされると、蕩けてしまいそうだ。

 しかもにこにこ笑いながら、辛さなど微塵にも顔に出さないようにする姿は凜々しい王子様。


 少しモモちゃんと離れてしまったけれど、だけどモモちゃんもあえてあたし達の間には入ってこないようだ。


 変なところで、遠慮するモモちゃん。

 ……聞いていたくせにね。

 あんなに平然としているのにね。


 えっちなことに関しては、サイボーグモモちゃんだ。

 鋼鉄の心の持ち主だ。

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