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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
 

「ふふふ、可愛いなぁ、しーちゃんは。目をそんなにうるうるさせて、真っ赤な顔で……どんなことを僕に期待しているの?」

「違う! 期待なんか……んっ」


 ナツは舌先であたしの下唇を舐め、驚いたあたしは言葉を飲み込んだ。

 そして舌先をそのまま耳もとに這わせ、悩ましげなため息のような吐息をひとつ、耳の穴の奥に吹きかけると、甘ったるい声音を響かせた。


「ん……? 僕が……なぁに?」


 気怠げな、その声だけでぞくぞくする。


「ナ、ナツが……ぁ、あぁんっ」


 背中に廻っていたナツの片手が下に落ち、あたしのスカートを捲り上げて、後ろからショーツの中に潜りこんだ時、あたしは思わず声を上げてしまい、ナツの手を払うよりも先に慌てて口を噤んでしまう。


「ふふふ、ねぇしーちゃん。マンネリ化防止に……」


 そんなあたしを愉快そうに見つめるナツは、


「後ろの方……今開発しちゃおうか。ここだけでもイケるように」

「え? や、やぁ……んん、んんっ……!!」


 なにか言おうとする度に、笑うナツがあたしの唇を塞ぐ。

 ナツの手があたしの尻肉をもみ上げ、そして中央の溝にそって落ちてくる。

 もどかしく動く指先は、あたしの肛門を見つけると……つんつんと軽く突きながら、くるくるとその周辺をなぞってくる。


 もぞもぞと変な感じがする。

 恐怖と不安と、快感になる寸前のこのもやもや感に、思考が乱れていく。


「や、駄目、ナツそこは……んっ……」

 羞恥に震えるあたしの言葉を掬うように、ナツはあたしの開いた唇の間に、熱く濡れた舌を差し込んで横にスライドさせる。

 同時にナツの指先が、後ろの蕾をぐにぐにと押してきた。

 驚いたあたしは思わず前のめりになって、ナツにしがみついてしまう。


「嫌嫌言いながら、なんでお尻上げてるの? もっと弄って貰いたいの……?」


 ハル兄からも、秘技を炸裂されたこともある後ろを弄られるのは、処女喪失の時と同じくらいの拒否感がある。


 嫌なのに。

 そこは嫌なのに。


 やめてと言おうとして、だけどこちらを妖艶に見つめるナツの唇が、あたしを誘うように半開きになったから、だからあたしはついふらふらと……。


 ナツの唇に口づけてしまったんだ。

 ナツのおイタを了承する合図のように。
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