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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘

「……どうしたんだ? ほら、ナツは大好きなカルピス、あんたはアイスミルクティでいいな?」
すっと差し出された、モモちゃんが買ってきてくれたらしい飲み物ふたつ。
ナツは12年後もカルピスが好きなのか。
……白濁色に固執しているわけではないよな?
なぜかあたしが好きな飲み物まで知っていたモモちゃん。
「ありがとう。でもなんであたしの好きなものを? 言ったことあったっけ?」
「そりゃあ、俺には特別な情報ルートがあるから」
意味ありげなモモちゃん、得意げにメガネをクイクイ。
まるで帝王支配下の、8,000万の融資をされて、世界に羽ばたくことになった"俺様ネットワーク"のような、優秀な手下を従えているかのようだ。
「ま、でもあんたの嗜好は、そこのクライアン……」
「クライアン?」
ジャ○アンの親戚かなにか?
するとモモちゃんははっとしたように口を閉ざした。
「い、いやナツから言われていたから。いい紅茶専門店はないかと」
種明かしは、実に予想通りの普通なもので。
クライアンなんて外国語を使わず、素直にナツと言えばいいのに。
「おいしいミルクティーのお店、情報通のサクラなら知っているかなって。そうしたらデートに連れていってあげれるでしょう?」
ナツは恥ずかしそうに顔を赤らめ、もじもじ。
そしてカルピスをストローでちゅうちゅう。
あたしも、口の悪い執事じみた男から貰った、美味しいミルクティーをちゅうちゅう始めた時、ため息をつきながらナツが言った。
「しーちゃん、強化合宿が終ったら、僕と遊ぼうね。ここは24時間いつでも開店中だし、むしろ僕はしーちゃんと朝から晩までイチャイチャラブラブして愛を深めたくて、ここを選んで予約をとっていたんだから。
ここで僕達、結ばれようね!! 絶対僕と下のお口で繋がるまで帰らないでよ? 僕、いつまでも延滞料金出すつもりだから!」
「……ぶはっ」
あたしは飲んでいたジュースを吹き出した。

