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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘

ナツには悪いが、あたしはナツと繋がれるまでの結果は期待していない。
早漏克服とまでいかなくとも、少し長持ちするようになったとナツが喜ぶ結果になるのなら、たとえそれがナツの自己満足の域を経ていなくても、いいと思うんだ。
せめてナツがウルトラマンをバイバイできるところぐらいまでには、強化の結果がでてくれれば、多くの人達を巻き込んだ意味はあるだろう。
モモちゃんもスタッフもやけに自信満々だけれど、ナツが笑顔で幸せのお花を大きくたくさん咲かせてくれるのなら、ナツのしたいことにどこまでも付き合ってあげたいんだ。
もしも神様の粋な計らいで、ナツが本当に早漏を克服でき、ハル兄なみのタフネスさを身につけたとしたら――?
ナツがハル兄と並んだら――?
………。
その時はその時だ。その時考えよう。
帝王と王子はあくまであたしにとってなによりも大事な兄弟であり、年以外の順位はないのだから。
……順位など、つけてはいけないものだから。
ひとりになったあたしは、すぐ傍に看板が掲げてある女子更衣室に入る。
あたしの頭の中で勝手に"執事"となったモモちゃんから預かった、ホテル宿泊客専用の鍵にて、小さいなりとも鍵付のプライベート個室が使えるらしい。
モモちゃんがホテルへと預けたボストンバックから、ナツが小さなバックに入ったものは絶対必要だからと手渡されている。
昔なつかし、ピアノ教室用の……ママ手作りニャンコバック。
よくぞナツ、このバックを見つけてきたものだ。
ナツのストーカーぶりは侮れないのかもしれない。
バックを除くと、まずはパーカー。
この大きさのものはあたしのではない。ナツのが紛れたのだろうか。
付箋が貼ってある。
『しーちゃんへ 僕が選んだ可愛い水着を着たら、僕の匂いに包まれて、きちんとムシ除け対策して下さい☆』
……室内でムシ除けとはいかに。
ともかく、水着の上にナツのパーカーを羽織れということなのだろう。

