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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
 



 モモちゃんとの待ち合わせは、女子更衣室の入り口付近。

 どうしてもあたしの方向感覚が信用できないらしいモモちゃんが、直接迎えに来てくれることになった。

 
 至れり尽くせり、シツジのモモちゃん――。


 念のため……。

 シツジとは、めぇめぇ鳴く白いモコモコ動物のことではない。


 主人に傅き家事全般なんでも出来る、正装をしたスーパーマンのことだ。

 ちなみにここで言うスーパーマンとは、青服赤マントで"S"をつけた地球外生物のことではないが、人間味がなくSのところは……あながちモモちゃんにも通用するかもしれない。


 なんといっても、真っ最中の睦言を5分も聞き続けて平然としていられる、鋼鉄の心の持ち主なのだから。


 アイアンスーパーバトラーモモちゃん。

 段々と長ったらしい肩書きとなり、箔がついている……かどうかは微妙。


 ハル兄が、儲けた8,000万をぽいとモモちゃんに渡して安心しているわけは、こちらがなにも言わずとも、先を見越してテキパキ動けるところにあるのだろう。

 勿論ハル兄を崇拝していればこそ、ハル兄の元でのモモちゃんは、あたしが見ているテキパキさの……4割増くらいにはなっているのかもしれない。

 ああ、目に浮かびそうだ。


――さすがだな。

――お褒め下さり、ありがとうございます!! 波瑠さんのためなら、火の中水の中!! もっと精進しますので、なんなりと命令を!! 


 アイアンスーパーバトラーをドMに服従させられる鬼畜帝王様に、乾杯!


 モモちゃんが動けば、細やかな気配りが出来るナツすら、リラックスしてモモちゃんに身を任せているくらいだ。


 変態王子も一目おく、モモちゃんの働きぶり。


 まさしく、佐伯家兄弟専属の執事だ。

 ……卑猥な趣味は、主人達に汚染された結果なのだろうか。

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