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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
 

 あたしは、にんまりと笑った。


「人間らしくていいじゃない。弱みあった方が、アイアンスーパーバトラーより、ずっと可愛い。やっぱりクソメガネより、モモちゃんだね」


「な!!」


「OK、OK! ほらほら、もうバレてしまったんだから、真っ赤な顔で楽しもう。誰も見て無いって。仮に見てても、あたしの可愛さにメロメロだと思うだけだし」


「また死語を……。なんだよ、その自意識過剰発言」


「あはははは。ペアルックしていた時点で、あたしとモモちゃんは、いやでも"カレカノ"疑惑持たれているんだし、今さらだって」


「カ、カレカノ!?」


 モモちゃんらしくなく声が裏返る。


「IQ高いくせに、そういうところは頭働かないんだね」

「IQ関係ないだろ!?」


「ペアルックが嫌なら……脱ぐべしっ!」


 あたしは、問答無用でモモちゃんのパーカーのチャックを下げた。


「……っ!?」


「おお、逞しい胸板ね~。着やせするタイプ? 腹筋まであるなんてこん畜生、べらぼうめ!」

「……なぜにその口調……」

「勿体ないよ、いい体見せないのは。19歳の青春を謳歌するのは今しかないんだから! あたしなんて19歳、体験したくてももう出来ないんだよ? できるうちにしてみる。挑戦できる時間があるのが幸せ! 何度だってやり直しが出来るんだもの!」


「………」


 そしてあたしも威勢よくナツのパーカーを脱いだ。


「ふぅっ、暑かった。ここ温泉使用しているせいか、室温高いものね」


 あたしの水着姿を僅かガン見したモモちゃんは、さらに真っ赤になった顔をそむけた。

 
「モモちゃん、見るのも駄目なんだ?」

「……今まであんたより発育いい女の水着姿、平気で見れてただろう」


 か細い声でぶつぶつ。


「なにか言った?」

「なにも言ってない」


 そうか、モモちゃん……恥ずかしいんだ。


 鋼鉄の心も、意外に脆く。

 ここはあたしがまともな少年の心に戻してやろうと、意気込んだ。


「初々しいね~。あたし目覚めてから、佐伯兄弟の卑猥さで汚染されていたけど、モモちゃんと居ればピュアな乙女ゴコロが復活できそうだわ」


「ピュ、ピュアは無理だろ。あんたおばさんなんだし」

「抱きつくよ?」

「………」


 すごい、あたしモモちゃん従えられたかも。

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