この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘

あたしは、にんまりと笑った。
「人間らしくていいじゃない。弱みあった方が、アイアンスーパーバトラーより、ずっと可愛い。やっぱりクソメガネより、モモちゃんだね」
「な!!」
「OK、OK! ほらほら、もうバレてしまったんだから、真っ赤な顔で楽しもう。誰も見て無いって。仮に見てても、あたしの可愛さにメロメロだと思うだけだし」
「また死語を……。なんだよ、その自意識過剰発言」
「あはははは。ペアルックしていた時点で、あたしとモモちゃんは、いやでも"カレカノ"疑惑持たれているんだし、今さらだって」
「カ、カレカノ!?」
モモちゃんらしくなく声が裏返る。
「IQ高いくせに、そういうところは頭働かないんだね」
「IQ関係ないだろ!?」
「ペアルックが嫌なら……脱ぐべしっ!」
あたしは、問答無用でモモちゃんのパーカーのチャックを下げた。
「……っ!?」
「おお、逞しい胸板ね~。着やせするタイプ? 腹筋まであるなんてこん畜生、べらぼうめ!」
「……なぜにその口調……」
「勿体ないよ、いい体見せないのは。19歳の青春を謳歌するのは今しかないんだから! あたしなんて19歳、体験したくてももう出来ないんだよ? できるうちにしてみる。挑戦できる時間があるのが幸せ! 何度だってやり直しが出来るんだもの!」
「………」
そしてあたしも威勢よくナツのパーカーを脱いだ。
「ふぅっ、暑かった。ここ温泉使用しているせいか、室温高いものね」
あたしの水着姿を僅かガン見したモモちゃんは、さらに真っ赤になった顔をそむけた。
「モモちゃん、見るのも駄目なんだ?」
「……今まであんたより発育いい女の水着姿、平気で見れてただろう」
か細い声でぶつぶつ。
「なにか言った?」
「なにも言ってない」
そうか、モモちゃん……恥ずかしいんだ。
鋼鉄の心も、意外に脆く。
ここはあたしがまともな少年の心に戻してやろうと、意気込んだ。
「初々しいね~。あたし目覚めてから、佐伯兄弟の卑猥さで汚染されていたけど、モモちゃんと居ればピュアな乙女ゴコロが復活できそうだわ」
「ピュ、ピュアは無理だろ。あんたおばさんなんだし」
「抱きつくよ?」
「………」
すごい、あたしモモちゃん従えられたかも。

