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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
「あ、順番だ。はい、モモちゃん前っ!!」

「だ、だめだっ!! あんたが前になれ!! それで妥協してやるから!!」

「え~」

「頼む、撮られなくても、密着されている俺がどんな顔してるかなんてわかりきっているから!! だからせめて!!」

「え~」


「お客様?」


 あまりにモモちゃんが両手を合わせて頼み込むから、あたしが前になった。大きなタイヤチューブの穴の中、あたしはモモちゃんに抱きしめられる形となる。


「お客様、もっとしっかりこうぎゅっとされないと!!」


 係員さんに指示されて、狼狽するモモちゃんの気配が背中越しに伝わってくる。

 やがてモモちゃんの決意したような手がぐっとあたしの胸の下に回され、不覚にもあたしはどきりとしてしまった。


「はい、それではよい旅を~。そのままお進み下さい~」


 チューブは係員の手を離れ、流れ出る水流におされるように、前にゆらゆらと進み始めた。


「………」

「………」


 モモちゃんがあたしを後ろから抱きしめたまま、文句もなにも言ってこなくなってしまい、心配になった。


「生きてる?」


 すると、あたしの頭の後ろでもぞもぞと動く。

 生きてはいるようだ。


「か、感想は?」


 モモちゃんは、あたしのうなじのところに息を吹きかけるようにして呟いた。


「……柔らけぇ」


 その声音が陶然としたような、甘やかなものだったから。

 吹きかける息がとても熱かったから。


 あたしの体がかっと熱くなってしまった瞬間――始まりました。



「んぎゃああああああ!!」



 落ちる、落ちる、落ちる!!

 
 トンネル状の滑り台の中、チューブが上下に激しく揺れながら、すごい速度でぐるぐる廻って落ちていく。



「うぎゃあああああああっ!!」



 そして――。



 ドッポーン。



 カシャっ。



「はい、どうぞ。またお越し下さいね~」



「かなり、思った以上に……ヘビーな滑り台なことで……」


 ふらふらのあたしの横で、手渡された写真を見て、元気なモモちゃんがにやり。



「これはまたよく綺麗に撮れている。くくく」



 綺麗という単語は、写真の撮り方にかかっている形容詞。


 見ずともわかっている。

 あたしの、阿鼻叫喚めいたぶちゃいく顔なんて。

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