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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘

名誉挽回とばかりに、再度挑戦ウォータースライダー。
こんな写真が残ってしまうのは、あたしの女がすたる。
今度はモモちゃんをナツに仕立て、ホテル宿泊者無料特典として最後の写真撮影の予約。
嫌がるモモちゃんの意見など完全無視で、無理矢理引き摺るようにして、お姉様達の視線が痛い針のムシロに逆戻り。
だが二度目ともなれば幾分かは慣れたのか、まだおずおずとした動きながらも、自らあたしの体を抱きしめてきたモモちゃん。
ぴたりとくっついた背中に、モモちゃんの意外に逞しい胸板の高い体温を感じて、そしてやけに早い心臓の音を感じ取って、やはりあたしはドキドキしてしまう。
……そう、あたしはモモちゃんほどに学習能力はないのだ。
そんなことに現(うつつ)を抜かしているから、身構える間もなく、突然に始まってしまうのだ。
「ぎょえええええええっ!!」
ドッポン。
カシャッ。
今度こそ、葉山静流の余裕の顔を残そうと思っていたのに、
「くく……これ……女じゃないって……」
モモちゃんが"心霊写真"を片手に、笑いを堪えきれないというように体を震わせる。
なぜ、なぜだ、なぜこうなる。
モモちゃんの方が余裕顔で、白目を剥いてあっちの世界に足を突っ込んでいるあたしの後ろから、ピースサインを出しながらのカメラ目線の美少年スマイル。
この落差!!
あたしはこの場所に取り憑いている怨霊か。
……そういえば水場に、成仏できない怨霊が寄ってくるんだっけか。
あたし、憑依されているんだろうか。
さすがにポラロイドを撮ってくれた係員さんも、気の毒そうにあたしを見ていた。

