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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘

ふたり――
「「○△◇※◎〒!!!!!」」
ありえない事態の到来に、言葉にならないほどの大ダメージ。
唇が触れていたのは、相手の唇の感触を感じ取るまでの僅かな間。
慌ててばっと唇を離したものの、水中であたしの顔は青くなり、モモちゃんの顔は赤くなる。
そして互いの顔色は、一気に反転する――。
ああ、それはあたしの心象が見せたものかもしれない。
実際水の中は苦しくて、そこまで観察しているゆとりはないのだから。
とにかく大混乱のあたしは、水着姿の男女のベタすぎるハプニングに、キャッキャウフフとピンクに染まった脳天気な気分になるどころか、逆にどす黒いオーラを纏った……ナマハゲじみた怖い鬼が2匹、これから両手に出刃包丁と肉切り包丁を持って追いかけてきそうな、そんな切迫感を感じていた。
ここまで得体のしれないものに恐怖するなど、やっぱりあたし、水死した怨霊にでも取り憑かれているのかもしれない。
多分その恐怖は、表情が硬いモモちゃんにも以心伝心。
慌ててふたり水面に顔をだして、酸素を肺に送り込めば――。
ざっぱ~ん。
待ちかねていたかのように、真上から大波の洗礼。
極度に波を怖がるあたしは体が竦んでしまい、足が棒のように動かなくなって再び波に飲まれ……、無我夢中で腕を掴んで水中に引き摺りこんだモモちゃんに、腕だけで抱きつく。
とにかく水面に上がろうと、顔を上げたあたし。
あたしを心配したのか、水中で顔を下げたモモちゃん。
「――っ!!!!」
「!!!!!!!」
二度目は、あたし達は目を見開いたままだった。
もう頭が動かない。
体も動かない。
事故よね、事故、事故っ!!
命に関わる場面での事故っ!!
互いに頷き合っているのは、意思疎通しているからと信じよう。

