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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘

「ごめんね、モモちゃん。それ以来、納豆ますます食べれなくなっちゃったんだね」
あたしがモモちゃんの立場なら、納豆という字を見るだけでも嫌だ。
しかしそれに対しては、モモちゃんはしれっとした顔で言い放った。
「いや納豆は食えるようになった。元々臭いにやられてただけの食わず嫌いだったが、意外にうまいものだなと。まあ……怪我の功名だな」
「おいしく食ったのかい!!」
「食わせたのはあんただろ!!」
そうモモちゃんは怒るけれど。
「モモちゃんのお怒りポイントって"納豆"?」
「は?」
「ファーストキスじゃないの?」
するとまたまたモモちゃん、ぼっと顔が沸騰する。
「キスは嫌じゃなかったの?」
「………う、うるさいなっ」
涙目のモモちゃんはその視線こそは睨み付けてはいるものの、耳まで真っ赤で、わななく唇からは否定の言葉は出て来ない。
……これってツンデレ?
やばい、加虐心が……。
「衝撃的なファーストキスが、忘れられなくなっちゃったとか……? 納豆よりキスをおかわりしたかったとか……?」
「………っ!!!」
今度は首筋まで真っ赤だ。
モモちゃん、ひねくれた物言いのくせに、なんて素直な反応をするんだろう。
可愛いのぅ。
この初々しいツンデレピュアボーイ、どうにかしてやりたい。
「そうか、そうなのか。そこまでシズルお姉さんとのファーストキスはよかったか。ずっと忘れられないほどに。
だから再会したら嬉しくて、あたしの気を惹こうと、可愛くない口の利き方しちゃってるんだ? だけど本当は……もっと優しく大人の接し方をしたいけど、だけどネガティブ思考が邪魔して、いじいじして意地悪になっちゃうのか。折角あたしを悦ばせようと、可愛い玩具を作ってくれたのにね?」
体よくとってつけたようなこじつけもいいところだ。
あたし自身、そんなわけあるはずないと思いつつも、あたしは完全に調子に乗っている。笑いを必死に堪えながら、目指せ悪女風!!

