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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
 

「他の女となら、生臭いナマコにしてるようで鳥肌が立つのに、ガキの頃の…納豆まみれの痴女のキスが忘れられない」


 ナマコ……。

 痴女……。


 なんだか色々あんまりだと思いつつも、それを言葉でいつものように否定出来ないのは、モモちゃんの言葉があまりにも切実だったから。


 そこまで追いつめていたのは、小学生に盛ったあたしのせい。

 とんでもない淫行をしでかしたあたしの愚行のせい。


 そのくせあたしは、そのことをすっかり忘れていた。

 今ですら、その記憶ははっきりとしていないくらいに。


「最初だから特別なのかと思った。成長すれば現実の女への感覚が、記憶を塗り替えるだろうと思った。だけど悍(おぞま)しいだけだった」


 モモちゃんは、引き摺ってしまっているというのに――。


 モモちゃんが苦悶の表情を見せながら、あたしの口の中に入れていた……唾液に濡れた指で、あたしの唇の内側を指でなぞる。

 その感触に、ぴりと痺れるものを感じた。



「……んっ……」


 僅か声を漏らしたあたしに、モモちゃんの唇はまた半開きとなり……あたしに吸い寄せられたかのように恍惚とした顔を近づけてきて、あたしの間近でその動きを止める。


「……くっ…」


 呼吸すら止めてから、眉間に皺を寄せてぎゅっと目を瞑ったモモちゃん。


 長い睫毛が、なにかに耐えるようにふるふると震えていた。


「三回……事故とはいえ、この唇に触れたら……過去の悍しい記憶が消し飛んだ。それどころか、リアルに思い出した。気持ちいい、あんたの感触を」


 震える言葉が、躊躇いがちな呼吸に乗せて……熱く熱く、吐き出されていく――。


「もっと触れたい。この中に入りたい。そして……欲しいのは、唇だけじゃないと気づかされた……」


 モモちゃんはあたしの尻をぐっと自分の股間に引き寄せ、モモちゃんの体に密着させた。


「あんたはナツのものだ。波瑠さんのものだ。わかっているのに、煽られた。女の裸を見ても、今まで欲情したことなかったのに。あんたが欲しくて……たまらない」


 モモちゃんの股間は、堅く膨らんでいた。


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