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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
 

「次の女も同じ状況で……言われた」


――体に触ることもできないなんて、男として最低ね"


「俺なりに我慢して触ってたのに。胸まではなんとか頑張れた。だけど女の秘部に触れなかったのが悪かったんだな。勢いで出来るかと思ったけど、勃つことすら出来なかった」


 開き直ったらしい、モモちゃんの独白。


「そこまで深刻なら……無理にしない方がいいと思うよ、モモちゃん」


 スる気満々なのに触って貰えない女は、可愛ければ可愛いほどにプライドは傷つくだろうから。
 

「だけど、波瑠さんが……女を屈服させるのは男の勲章だから、絶対イカせろと言うし……。波瑠さんの言葉は絶対的だから」


 ……ハル兄。

 モモちゃんの初ちゅ~奪って苦しませているあたしが言うのもなんだけど、いたいけなピュアボーイになに無茶を押しつける!!

 帝王ルールの命令に、犠牲になったらしい可哀想なモモちゃん。


「だから考えた。それならば……女に触れずに満足させられればいいんだろうと。だから……」

「……まさかあのやらしい玩具開発の動機って!!」


 モモちゃんは、怒られた子供のような消沈した顔つきで頷いた。


「途中から女に試すのも面倒になって、ナツのための開発になったけど」


 モモちゃんは諦めたようにため息をついた。


「ナツを通して俺は……、あんたが悦ぶ姿を妄想していた。だけど、ナツを応援しているのも、まぎれもなく本心。波瑠さんの喜ぶ顔を見たいのも同じ。

……静流さん」


 ――うっ。

 "あんた"から突然、変化球攻撃。


「俺は、あんたに俺事情を押しつけはしない――。

孤独だった俺の世界を切り開いてくれたあのふたりを、裏切りたくないから。悲しませたくないから。

あのふたりが、第三者がつけいる隙もないほど、どんなにあんたを大切にしているか、ずっと俺は見てきた。あんたもどれだけあのふたりを大切に思っているのか、わかっているつもりだから」


 切ない声が、耳に届いた。
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