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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
 
 
 上にはモモちゃんのパーカー。下にはナツのパーカー&タオル。

 だけどその中身は素っ裸。


 その格好で、賑わう室内を、メガネをかけたモモちゃんと歩く。

 メガネをつけた途端に、理知的イケメンに変身するものだから、やはりそれはそれで周囲の視線が痛い。


 その中を歩いているせいもあるだろう、落ち着かない。


「モモちゃん……。下、すぅすぅする。それに歩きにくい~」


 ノーパンは、人生史上二度目だ。

 だが、慣れない。違和感を拭えない。

 あるべきところに布がないと、どうしても落ち着かないのだ。


 あたしは、ノーパンになることで解放感や快感を味わう、裸族や露出狂の変態さんにはなれないようだ。

 

「そうだ。いっそ、このタオルをふんどしのようにしたら……」

「そ、それは俺のタオルだぞ!?」


 冗談のような軽い思いつきに、真っ赤な顔をして慌てたモモちゃんが必死に止める。


「ちゃんと洗って返すから。使えるように」

「そ、そういう問題じゃ……って、つ、使う!? な、なにに!?」


 なぜだか、モモちゃんの声がひっくり返った。


「なにって……濡れたものを拭くのがタオルでしょう?」

「あ、そっちの"使う"か。俺また、波瑠さんがよく言う夜のオカ……」

「ハル兄が? 夜のオカ……? それなに?」


 夜景だろうか。

 わからず尋ねれば、モモちゃんの顔がぼぼぼと凄い火を吹いた。


「ナニなんて言うなよ!! やめろやめろ、黙っててくれ!! どうしてあんたはそういうことを平気で……っ!! 俺に言うな。俺におかしな想像させるなよ……っていうか、俺はあんたが裸ってだけでいっぱいいっぱい……いや、そういうの、まったく想像なんてしていないからなっ!!」

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