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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
 

 真っ赤なモモちゃんがあたしの下半身を抱きしめるようにして、パーカーとタオルの落下を防いでくれて、危機一髪。


 だけど……。


「ま、こんな公衆の面前で大胆ねぇ……」

「イケメンなのに、こんなところで発情しちゃうんだ……」

「見るんじゃありませんっ!! ああいう卑猥な大人になったら駄目よ」



「………」

「………」



 モモちゃん、観覧には年齢制限がかかる残念なイケメンに大変身。

 あたしを助けるためとはいえ、さすがにこの扱いは気の毒すぎる。


「元気出して!! モモちゃんは、自慢の高いIQと高い学歴があるんだから!!」


 びしぃっと親指をたてて、ウインクをしながらそう言えば。


「……それが今、ここで役に立つか?」


 虚ろにも思える目が向けられた。


「あ、あたし着替えてくるね。うん、それがいい」


 ぱちんとひとつ拍手をして、更衣室に行こうとしたあたし。

 だが、ぴたりと足を止めて……蹲ったままのモモちゃんに聞いてみた。


「情報通のモモちゃん。モモちゃんが知り得る限りにおいて、ナツが買ったと思われる卑猥な水着は何着? 溶けた水着も含めて」


 モモちゃんは少し考えてから言った。


「5着」


 ……考えてみよう。

 ナツがバックに入れた水着は8着。

 そのうち、スク水とハル兄が病室に持ち出した破廉恥水着を除外すれば、残りは6着。うち、ナツオススメの水着はあまりの卑猥さに(?)溶けてしまい、残り5着。


 モモちゃん情報によれば、溶ける水着を入れて5着……ということは。



「まともな水着は6着中1着しかない可能性が高すぎる……気分はまるでロシアンルーレット」


 より確実性を求めるのなら、除外したうちのひとつであるスク水を着ろということだ。小学生の頃の、ピッチピチ水着を!!
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