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目が覚めたら。
第1章 貴方は誰ですか。
 


 しかし、本当の問題はそこではなかった。


「なんで……? 事故……とか?」


 12年と言ったら、17歳の記憶で最後のあたしは29歳っ!!

 アラサーっ!?

 なにもせずに、いきなりアラサー!?


 そんな衝撃よりも大きい爆弾をコイツは落とした。



「ううん。どちらかと言えば体質かな。しーし、暫く精液を体内に入れてなかったから」


 ………はい?


「ほら、やたら喉渇いてお腹空いていたでしょう? 食べても食べても満ち足りないって」


 ………。


「ごめんね、もっと僕が早くに知っていれば、しーしを苦しめずにすんだのにさ。だけど安心して? 成長した僕は……」


「まてぃっ!!」


 駄目だ。コイツの暴走を止めねばならぬ。

 コイツが本当のナツかどうかは置いておいて。


「確かにあたしは過食症かってくらい食べた記憶がある。で食べても太らないから、さらにいつも食べてた記憶がある」


 だけど思春期。しかも失恋を繰り返していたのだ。


「これは精神的なストレスが……」

「違うよ」


 アーモンド型の目が細められる。



「しーしは20歳まで処女を守らないといけなかったんだ。だけど言いつけを守らないで、どこの骨かもわからない男にやっちゃったから、目覚めたんだよ」


「目覚めた……?」

「そう、キュウセイキの血」

「キュウセイキ?」



「そう、精を吸う鬼……簡単に言えば、淫魔」


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