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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘




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「どうだ、モモちゃん!! この煌めく、"整理番号№29"!!」


 奪取したぴらぴらの紙をを水戸黄門の印籠のように突きつけて、カッカッカッと笑って見せたあたしに、モモちゃんはげんなりとした顔で言った。


「……あの詰めかけた参加希望者が崩れたところを見計らって、後ろからとびつくようにして係員の整理券毟り取る、その……餌に目の色変えた野生猿の如き跳躍力は拍手に値する」


 無気力にひたすらやる気なく、乾いた拍手が送られる。


「ただ……」


 そして――。


「あんた、自分の格好わかってんのか!? 高く飛び上がれる状態か!? 俺が隠さなければどうなってたか、そのスカスカな脳でもわかるだろ!? それともあんたは、見られたい女なのか!?」


 モモちゃん、ご立腹。


 下半身に……下から急に風が入ってきて、捲れる気配は確かにあったけれど、それよりもなによりも、ナツ奪還のための出場チケットを手に入れるために夢中だったあたしは、慌てたモモちゃんに……超俊足空中お姫様だっこされながら、出場権を獲得したのだ。


 そのアクロバッティングな早技には周囲から称賛を得たというのに、モモちゃんはご機嫌斜め。

 これからラブラブカップル演じて頑張らねばならないというのに、この不協和音はあまりよろしくない。


 よし、ここは……。


「ねぇモモちゃん。お姉さんの大事なところ……見たの? それとも……触っちゃった? いやぁぁん、モモちゃんの……え・っ・ち」


 完全に冗談だ。揶揄だ。わざとだ。

 すぐに真っ赤になる初心(うぶ)なピュアボーイに戻そうとしたのだが、モモちゃんは必要以上に慌てて狼狽えた。


「し、仕方がないだろう!? め、捲れて縛りが解けた場所は、どの部分かちゃんと見て手を使わないと直せないんだから!! だ、だけどそのおかげであんた、きちんと下を纏えているだろう!?」


 ………。


「お、思い出させるなよ。そういうことは、スルーしといて……」

「……ええ!? 本当に見たか触ったかしてたの!?」


 あたしは驚いてモモちゃんに詰め寄った。
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