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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘

「……っ!!? あんた……かまかけてたのか!? なんでスカスカ脳のくせに、そんな高度なテクを使うんだよ!!」
「そのスカスカにモモちゃんが勝手に乗ってきたんでしょう!? 初恋の綺麗なお姉さんになんて破廉恥な!!」
「初恋は関係ないだろう!? 直すために……ちょっと前が見えて掠った程度なだけだ!!」
またもや強調した"綺麗"だけは見事スルー。
「その程度でなんでそんな真っ赤になるの!? 思い出すって……なにをどの程度リアルに思い出してるのよ!!」
「変態を見るような目で俺を見るなよ!! お、俺は必死だったんだ、あんたが……あんたを見られるかと思って、俺、ただ純粋にあんたを他にみせたくないから、だから俺……っ」
モモちゃんは、涙目になった。
「だったらその無駄に高いIQで、触らずに直してよ!!」
「無茶言うな、俺はエスパー河童じゃない!!」
「それをやるのが、ツンデレアイアンスーパーバトラー頭脳派元副総長……ああ、長ったらしい。省略してよ」
「知るか!!」
そんなこんなでぎゃあぎゃあ騒いでいたら、
「……あ」
「……な!?」
ホイッスルが鳴り響き、集合の合図。
あっと言う間に、待機時間が過ぎてしまったらしい。
「やばい、モモちゃん……。開始合図まで3分。パンツはけないよ……。ふたり揃って早くいかないと棄権になっちゃう……」
「……なんでこんなくだらねぇことに15分も。どうする……って言っても、仕方が無い。クイズ大会なら動くこともないだろうし、頭でもなんでもあんたをサポートしてやるから」
「ふぇぇん、頼りにしてるからね、モモちゃん」
あっという間に仲直り。
だがモモちゃんから快い返事が来ない。
「モモちゃん?」
少し考え込む素振りを見せていたモモちゃんに、どうしたのかと尋ねてみれば彼は戸惑うように言った。
「……なんだかさ、俺、頼られることには慣れているけど……あんたに頼られるのって……格別というか……」
照れたようにはにかんだように、顔を赤く染めたモモちゃんは言う。
「ナツを誤解してた時も思ったけど、あんたが頼れるのが俺だけなんだと思えばさ……」
唇を手の甲で隠しながら、あたしから目をそらして。
「すごく……嬉しいんだけど」

