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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘


「大体、俺は奥手だ。奥手の俺に、cherry girlsの知識は未知なるもの。本の知識くらいの基本は頭にあっても、実践を伴われたアブノーマルな世界の応用知識はわからん。そこを突かれるのが一番不安だ」


 あんな玩具作っておいて、なにが奥手だ。あれ、初級じゃないよ。

 とは思ったけれど、口に出す前に、モモちゃんの細められた剣呑な目によって先に牽制された。

 ここは、逆鱗に触れることなかれ。
 

「そこまで凄い知識を必要とするの、cherry girls」

「ああ。あの波瑠さんですら、辟易するほどの卑猥さらしいからな。なにせ男いらずの、女尊男卑の象徴みたいなものを開発しているからな」

「なんと!」


 しかしその話題、どこかで聞いたような……?

 
「あたしは二戦目が不安だよ」

「どうして?」

「どうしてって……」


 口ごもるあたしに、モモちゃんは口もとで笑う。


「ラブラブぶりを見せつければいいだけだろう?」


 揶揄めいた、挑発的な眼差しが、メガネの奥できらりと光る。


「いいだけって、そこが問題なんじゃ……」

「簡単だろう? 俺が……ナツや波瑠さんの真似をすればいいだけだ」

「……モモちゃん、なんだか嬉しそう?」


 それだけではない。

 なんで目許が艶めくのだろう。

 メガネ外していると、かなりの色香をあたしは食らったかもしれない。


「別に? 人真似してなにが嬉しいんだよ」


 そうだけれど……。

 それでもモモちゃんは、どうしても嬉しそうにしているように見えた。


 まったくおかしなモモちゃんだ。



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