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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘

 

「金棒……?」


 鬼が片手に持っていそうなトゲトゲがついた楕円形の形状のものが、金属棒に繋がっている。

 怒れる帝王様が持つ武器としては、小さく頼りない。


 なんだあれ。



「あれは……」


 モモちゃんの目が光った時、皆が走った。


 老いも若きも皆が全力疾走。


 取り残されたのは、あたしとモモちゃんだけ。




「え、なに……皆知っているの、あれ!?」


 大人気とは言っていたけど、そんな広範囲の年齢に愛されるの、あれ。



 ピンポーン♪


 ボタンが押された音がした。



「はぁい、おばぁちゃん、答えちゃってYO~」



 回答権は……今にも倒れそうな、腰が曲がったお婆さん。

 どうやってあの速度で移動する集団の先頭に立てたんだ。



「エレキテルフレキシブルワンド」


 変な呪文を唱えれば、皆が悔しがった声を上げた。

 正解らしいが、あたしにはさっぱり意味がわからない。



「使い方は……」


 お婆さんの口から卑猥な単語の羅列が並べられ、ジェスチャーつきでの説明。言っている意味はよくわからなかったが、ジェスチャーでなんとなくわかった。


 あれは、いわゆる……電動バイブらしい。

 具体的なお婆さんの説明までは理解出来ない。あたしの想像力があまりにも貧困すぎるようだが、それ以上にあれは普通のものではないらしい。


 ……形状からしてなんだよ、あれ。入るものなの?

 見るからに痛そうで、拷問道具じゃないの。


「やっぱりそうか」


 モモちゃんはお婆さんが答える前に、ある程度の推測をしていたらしい。


「……ふぅ。よかったな、あんた……ナツがあれを購入していたら、こっちの世界に戻れなくなっていたかもしれないぞ」

「へ?」

「あれは、超ハード向けだ。俺の玩具は『女性に優しいシリーズ』だが、あれはプロ……というより熟練向けのグッズだ。快感が半端ないらしい。ナツに、俺のを勧めておいてよかった。

あれは高圧電流が流れ、棘が大きく出て超高速で回転する。噂ではその凄まじい快感に体は痙攣し、口からは泡吹いて白目剥いて気絶するらしい。あの婆さん、あれを愛用できるのなら、相当だぞ?」


 ……お婆ちゃぁぁん。




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