この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘

ナツにおイタされた、あの玩具を思い出す。
確かにセンサーみたいのが端っこにあった。ナツはそれをスマホと接続してスマホをリモコン化はしていたけれど、大体スマホというものはメールなどが使える通信手段だ。
つまり、あたしの恥ずかしい個人情報は――
「ナツはあんたの再現の中で、耐えうる力を強化中ってことだ」
モモちゃんの開発玩具によって、白昼のもと。
よりによってなんでそんなところ……。
脱力して腰が抜けそうだ。
だけどまぁ、それでナツが喜んで生きる励みになるのなら、結果オーライでいいかなんて思うあたしは、やはりどこかずれているのだろう。
「ナツだから使用は許されるけど……データ管理はきちんとしてね。秘密厳守!!」
まぁ、知られたからといっておいそれと多方面への活用はされないだろうが。誰が使う? 変態王子以外に、使い道がない。
「……」
「モモちゃん?」
考え込んでいたモモちゃんが、ほぞりとなにかを言いかけた。
「……俺でも……」
「……?」
「いや……」
モモちゃんは自嘲気に笑った後、この件について口を開かなかった。
そして――。
後数枠となった第一戦も終盤。
卑猥さの欠片もないのに、変態王子がイメージキャラクターだという、よくわからないDangerous Scentからの出題。
「危険な香りといえばフェロモンだよNE~。このフェロモン、原型となったギリシャ語のなにとなにが組み合わさって出来た言語かNE~? ウズベク語でふたつ答えてNE~」
だから……。
ギリシャ語なのになんでウズなんちゃら語?
ウズなんちゃら語は、ギリシャの親戚かなにか?
日本語もままならならず、世界の地理も歴史もさっぱりのあたしの心のツッコミをよそに、老いも若きもまた走る。あたしだけを取り残して走る。
立ち止まるな、シズル。
とりあえず走れ!!
プライドに賭けて、とりあえず走る。
ボタンを押したのは、足の長さに既に差が出ていたモモちゃん。
ボタンの直前、他の方々の足が遅くなったように思ったのは気のせいだろうか。

