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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
 


「想像させんなよ……っ」


 勝手になにを想像したのか、モモちゃんは沸騰してその場に蹲(うずくま)る。


「なんでこんな反応、俺ばかり……」

「しかたないよ、モモちゃんピュアピュアだから。だけどあたしも最初は、そんな反応だったんだけどな……。保健体育の授業辛かった。あ、だったらモモちゃん、保健体育の成績悪かったの?」

 試験内容見ただけでも、ピュアボーイには無理そうだ。


「俺は、5段階5以外とったことがない」


 真っ赤な顔でメガネをクイクイ。

 試験には体温と顔色は全く関係ないらしい。


「凄いね~、あたしなんて10段階5があれば飛び上がって喜んでたよ? そうか、モモちゃんは、むつっつりすけべって奴なんだ?」

「な……っ」

「もう……い・け・な・い・子」

「……っ!!!!!」


 最後にポンとその薄い唇に人差し指をぽんと軽く叩くと、モモちゃんは前のめりになって……「俺もうやだ」などという彼らしくない弱音が聞こえた。


 ああ、これではいけない。

 元気つけさせなきゃ。


「だけどいいなぁ、ピュアピュア。若さだね~」


 元気に話題を変えて褒めれば、


「あんたは……今でもピュアだろ……」


 弱々しい声音で、モモちゃんはぼそりと呟いた。



「そう、見えるの!?」


 思わず嬉しくなったあたしは、よろよろと……今にも前転しそうなほど前傾しているモモちゃんに抱きついた。ぎゅっと。


「あ、あんた……下着、下着つけて……っ」


 気づけばモモちゃんに胸を押しつけた形になっていて。モモちゃん相手なら、不思議と焦る心地にならない。

 クールさを返上して狼狽するモモちゃんの初々しさが、馴染みすぎたようだ。


「あ、ごめん、ノーブラだったよね。さっきの直の感触思い出しちゃった? ……モモちゃんのえっち」

「く……っ」


 モモちゃん、涙目で悔しそうにあたしを睨み付けていた。

 ああなんだか可愛くて、ぞくぞくする。


 モモちゃんいじり、やみつきになりそうだ。
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