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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
 

「HEY、5人3組に分けペアでstart。30個あるゴムの包みの中から、ひとつを口で咥えて持って来てね。正解は3個で、3ペア勝ち抜けだYO〜。間違ったら5秒後にまたスタート地点に戻ってダッシュ。手でゴムの厚さ確かめると即退場。歯でならくちゃくちゃして確かめてもいいけれど、やりすぎると間接キッCHUになるからNE~」

 余計なお世話だ。

 手を禁止されてなにで確かめろというんだ。


 しかし誰だろう、このゲームの発案者は。



 あたし達は3レース目に振り分けられた。

 まずは1レース目。


 薄いゴムを貪り合う様は、なんと浅ましいことか。

 ……ああ、お嫁に行けない。


 遠い昔にお嫁に行ったはずの婆ちゃんも飛びはね、入れ歯を残して本体落下。

 それを爺ちゃんが追って飛び跳ね、婆ちゃんの入れ歯ごと咥えて糸を噛み切り、見事な連係プレイを経て、正解をつかみ取った様はなんとも感動的で、思わず貰い泣き。


「正解者はプレゼントだYO~」


 喜んでいるけど……使う気なんだ?

 すごいね、ニッポン。

 
 2レース目は小学生が混ざっている。

 小さい小学生でも背伸びをしてどうにかとどく距離のものを男の子が口で取ろうとすれば、女の子が頭を横に振り、高い位置のものを指さす。

 そして男の子はその場で四つん這いとなり、女の子はその背中に堂々と乗り、さらにはジャンプして、お目当ての品をもぎ取り司会者に渡す。


「正解~」


 すごいや、今の小学生。

 女の子の方がゴム事情が見ただけでわかり、男の子は進んで足場になるんだ?

 ……え、あのふたりは今から、そういう関係なの?

 男の子が嬉々として手にしたゴムを、女の子が奪い取り、男の子はしゅんとしていた。

 ……もうこれ、主従関係になっているよね。



「……正解は、高い場所にあるな、今のところ」


 モモちゃんが、メガネの奥の目をきらりと光らせた。


「俺らのレースには年寄も子供もいないからか、半端じゃなく高い位置にあるぞ、3つとも。いいか、あんたはジャンプするな。自分は、ノーパンだということを忘れるなよ」


 ……アキレス腱を伸ばして準備運動を始めていたあたし。完全にノーパン忘れて、空高く飛ぶ気満々でした。
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