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第9章 変態王子様の奮闘

「ほら、立て。お立ち」


　モモちゃんの小さな頭をぺちぺち叩く。


「あ、ああああんた……い、今どんな状況にいるかわかって……」

「モモちゃんに触れてるのがノーパンだろうが深いことは気にしない」

「あ、あんたが気にしなくても、ノ、ノーパ……」

「ほら、行くのよ、モモ号っ!!」


　ぐいぐい、髪をひっぱりながらあたしは言う。


「頑張ったら後でご褒美あげるから」

「そんなものはいらん、か、肩から……」


　モモちゃんの胸の前に投げ出した足をばたばたさせる。


「男なら、覚悟をお決めっ!!　ナツが卑猥な亡者どもの餌食になってもいいの!?　それでお友達と言えるの!?」

「――っ」


　そして、モモちゃんは立ち上がる。

　モモちゃんは長身だからあたしの高さは凄まじい。



「……取れよ。絶対アレを取れよっ!!」

「合点承知の助っ!!」

「どこの時代の奴だよっ」


　そして走ったモモちゃん、あたしを肩車したままジャンプ。その頂点にて手を伸ばしたあたしは、毟り取ったのだ。



「正解～」



　0.01mmのものを。

　見事な連携プレイ。顔を見合わせば喧嘩してたあたし達とは思えないほど、息があった……ラブラブ状況。



「ご褒美にモモちゃんあげる」

「いらん」

「却下されてもあたし使う予定ないし……」

「……っ、つ、使えよ……っ」

「ん……だけどあたしのお食事に邪魔な気が……。そうだ、モモちゃん一緒に使う？　ふふふ、あたしのノーパン、肩や首で感じた仲じゃない」

「そ、それはあんたが……っ」


「あらあたしのせい？　……どんな感触だったの、あたしのノーパン」

「は、はあああ!?」


「柔らかかった？」

「なななななななな!!」

「濡れちゃってたりしてた？」



　ぼんっ。


　そんな音をたててモモちゃん、沸騰。


「あ…あんた……絶対俺からかって面白がってるだろっ。く、くそっ、格好悪い、情けない、屈辱だ！!　こんな状態の俺を、こんな大勢の人前でさらすわけにはいかないっ。……すぐ戻ってくる!!」


　またもや鎮めたところが大変なことになったらしく、モモちゃんはあたしを睨み付けてトイレに走った。


　ふふふ、可愛いね～。若さっていいね～。男の子は大変だね〜。

　あたしは手を振ってモモちゃんを見送った。