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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
 

 というか、モモちゃんも……本番してないだけで、それなりのものは経験をしているんだ。性欲も息子さんの元気もあるみたいだし。


 19歳の若さを持つイケメンでインテリ。メガネをかけてもかけていなくても、オンナから熱視線を向けられるこれだけ極上なオトコなら、もし女嫌いでなければ――…崇拝する帝王助言を忠実にこなそうと、オトコの勲章とばかりに…据え膳オンナをとうに食いまくっているだろう。

 むしろ、このインテリメガネ顔で、道具だのなんだのを初めとして女体を焦らして虐めて楽しんでいるような陰険なSっぽさを感じるのは、あたしが兄弟の卑猥さに染まったからだろうか。

 いやいや皆だってそう感じているに違いない。

 これで童貞だと大勢の前で告白したら、奇異の眼差しを向けられたモモちゃんは、トラウマになって勃つことも出来なくなってしまいそうだ。

 納豆味の初ちゅ~どころの話ではなくなる。



 案の定、モモちゃんは頭を抱えている。


 あたしの初体験の相手像をどうするかだけでも、頭が大変なことになっているはずだ。モモちゃんの高尚なIQがこんなことに使われるなんて、脳細胞さんに悪い気もする。

 情報通のモモちゃんでもあたし本人すら忘れ去っているあたしの初カレの特徴なんぞ知らないだろう。

 その時モモちゃん何歳よ? ナツと同じ歳でしょう?

 その頃からユリとは交流はあったけれど、そこまでモモちゃん記憶に留めておくだけのあたしへの興味もなかったでしょう?


 さあ、どうする。


 あたしがモモちゃんと答えを合わせるために、モモちゃんも考えているはずだ。単純馬鹿なあたしと、高IQのモモちゃんが出したものが、同じになる答えはなにかと。

 思考力も想像力も貧困すぎるあたしが、モモちゃんレベルにパワーアップできないのなら、モモちゃんがそのレベルに下ってくれるしか方法はない。


 だったら、モモちゃん……。
 
 考えてもわからないのなら、作りましょう。

 ここは、捏造でいきましょう。


 誰も真実なんてわかりゃしない。

 今のあたし達は超ラブラブカップル。


 モモちゃんの初体験の相手はあたしで、あたしの相手はモモちゃんで。

 そうすれば特徴なんてちょちょいのちょい。
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