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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美
 


「108点以上出さないと駄目だ」

「さすがはモモちゃん、あたしの頭の中がわかってるねぇ!!」

「……あんた本当に、俺より年上なのか?」

「おうよ!! 綺麗な初恋のお姉さんよ!!」

「……どこの江戸っ子だよ…」



「結果はっ」



 焦れ焦れ。



「結果……」


 もぞもぞ。



「結果……っ」


 ……やりすぎたようだ。急かす野次が飛んで来る。


 気分はテスト返却日。

 目を血走らせて、食い入るようにメタボ司会者を見ると、奴はあたしと視線を合わせた直後、びくっと腹を揺らせて横を向いて叫んだ。

 

「総合得点、結果は108点!! 老齢カップルに至らZU~」



「ビンゴーっ!!」


 あたしは両手拳を上に突き出し、スキップ。


「これでデザイナーさんの50点入れたら、優勝だよ!! モモちゃんに騙されまくったあたしの真っ赤っか、無駄に終わらなかった!! 演技と言うより、素で勝負してよかったね!! 108から20引いた……ええと…」

「88」

「そうそう、88人が!! あたしが若くて可愛いって、全くアラサーに見えない現役女優だって、こんなに評価してくれたよ!?」


 大興奮に鼻息ふがふが。

 両手拳で交互に胸を叩いておおはしゃぎ。


「……メス…キングコング……」


 そんなあたしに、なにかを呟いて一歩退いたモモちゃん。それまでの思案顔を引き攣らせて、なんとも言いにくそうに言った。


「……微妙に論点すり替わっているんだが」

「え、どこらへん?」


 考えてみたが、よくわからない。


「いや、いい。あんたは可愛い。女優とは言いがたい大根だけど、世界中が認めなくても、俺だけはあんたを認めてやる。あんたは……可愛いよ」

「もぅ……っ、モモちゃん、照れるじゃないっ!!」

「……深くは考えまい。このひとも深くは考えていないようだし。俺だって学習しているんだ……」


 なにやら微妙に傷ついた顔つきで、まるでお経のようにぶちぶちなにかを哀しげに唱えているモモちゃん。

 だがその顔は次第に曇り、険しくなっていく。


「モモちゃん?」
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