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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美




 悪魔の補正のせいで天国から地獄へ急転落。

 思わず床に四つん這いになったあたしは、生まれたての仔牛のように手足がぷるぷるして、立ち上がれない。


「さあ、Mr.片倉。Youはどこにいれるか、50点は――っ!?」


 ……50点入るにしろ入らないにしろ、結果は覆られない。


 いじけるあたしが横目で目にしたのは、


「!?」


『該当なし』の文字。


 ここで必然的に――。

 いやもう、50点どこに加算されようが――。


「おおおっ!? ではでは優勝は……っ、老齢カップル――っ!!!」


 もう優勝者は変わらない。


 割れんばかりの拍手。

 テレテレのジジババ。


「しかしMr.片倉、50点…該当なしとはNE~」

「残念ながら、個人としてもアーティストの端くれとしても、心に訴えるほどの熱々な情感は感じられませんでした……」

 
 3組の熱々ぶりを見ていたアダルトナツは、実はクールダウンしていたらしい。その評価はあまりに辛辣だ。

 途中アダルトナツのことなんてすっかり度外視していたあたしは、あたし達の出番時のアダルトナツの反応なんてまるでわからないけれど、冷めた眼差しで見られていたのだろうか。

 あたしは、完全にテンパるほどモモちゃんにドキドキしていたのに、アダルトナツは嘘臭いとせせら笑っていたのだろうか…。演技ではなかっただけに、それはそれで辛いものがある。


 あたしのドキドキ姿…可愛くなかったのか。

 それとも、あたしの純真な真っ赤っか見て……


「もっと、"素"のものを見てみたかったので、残念です」


 それは付け刃だと、見通していたとでもいうのか。

 ……本人ですら、モモちゃんの告白に騙されて狼狽していたというのに。
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