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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美

 
「特に身体の繋がりよりも、精神性の繋がりでドキドキさを見せようとした最後のカップルは、本当に残念でたまりません」


 あたし達を、とことん残念な子扱いしたアダルトナツ。

 その目はなぜか悲しんでも笑ってもおらず。


 底冷えしそうな……、言うなれば、ブラックナツのような攻撃的な目。


 その視線の間に、モモちゃんがすっと割って入り、


「お目汚し、すみませんでした。これからは精進致します」


優雅に頭など垂れて、輝かんばかりの"作った"微笑。


 女ならコロリと騙される(だけどあたしは騙されない)、人当たりいいイケメンクソメガネぶりを発揮すれば、


「是非。このまま君も残念なイケメンで終わらせないで下さいね」


微笑み返す、アダルトナツの視線が凍えた気がする。


 元々残念なイケメンズ入りをしていた騎士(ナイト)なモモちゃん、残念な子だと、こんな公衆の面前で烙印を押されてどう思ってるだろう?

「イケメン扱い下さって恐縮ですが、今度は貴方が悔しがるぐらい、彼女をとろとろに夢中にさせて見せますので。折角有名なデザイナーさんから応援下さいましたし、リベンジ果たしたいと思います」 


 ……このひと、堂々と挑戦状受け取っちゃったよ。

 モモちゃんとアダルトナツの笑顔が恐いと思っているのは、きっとあたしだけではあるまい。 


「み、Mr.片倉から励まし貰えてよかったNE~」


 メタボ司会者が痩せそうな勢い。

 ゆ~ちゃん、後ろ向いて逃走しようとしているのを、目聡く見つけた司会者が、ひっしと捕まえアダルトナツとモモちゃんの間に立たせた。

 可哀相に……。酷い司会者だよね。


 しかし。アダルトナツはあたしになにか執着あると、だから50点はあたし達にくれるものだと、そんな都合いいことを思っていたのはあたし達の落ち度だった。現実はそう甘くはなかった。


 アダルトナツからの加算点は、元から見込めなかったのかもしれない。

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