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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美
 

「モ、モモ……」

「来い、走るぞ」

「モ、モモちゃ……っ、ファ、ファっ」


 映画でよく聞く罵倒語は、復唱ですら女の子の口から出て来ない。

 それが理知的なピュアボーイのお口から、ジェスチャーつきで感情をこめられて出て来たのは、まさしく驚天動地。


「……トリップしてたあんたを、現実に引き戻せない情けない俺でも、だてに波瑠さんを慕ってないんだ。だてに……副総長してないんだよ」


 矢継ぎ早に、理解出来ないことが沢山起こりすぎて、どうでもいいことが無性に気になってくる。


「ふ、副総長……でも、言い捨て?」


 モモちゃんのお口が少し尖る。


「俺が恐いのは、あんたに公然と催眠術をかけるあんなナツもどきじゃない。怒れる波瑠さんだ。早く電話に出ないと、凄まじいことになるぞ。あのひと、暴れながら本気にここに来るかもしれないぞ!? そうなったら、ナツのいる隣の施設を含め、関連建物すべて大崩壊しちまうぞ!?」


 大仰とも言い切れない。

 モモちゃんは、あたしが眠っていた長い間、ハル兄の怖さを体験してきた舎弟だ。そのモモちゃんが本気で怯む、ハル兄の怒声――。



 "GORAAAAAA!!!"


「そ、そそそそそれは阻止しないと。それより、な、なな、なんでハル兄が突然電話なんて。なんで迷子センター……」

「説明はあと。とにかく急ぐぞ、命が惜しければ!!」


 思い出せ、あたしの、あの徒競走で優勝をかけた訓練を!!

 追いつめられることにより、鈍ってる愚民の筋肉細胞、目覚めよ!!


 さあ、1位を逃した屈辱的な過去を挽回するのだ。

 ゴールの先には、電話握りしめた狂暴キングコングが待っている!!


 ……回れ右したいけど…。

 

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  ・

  ・


「ぐあああ!! なんで迷子センターがこんなにわかりにくいの!? 迷子センターに行くのに迷子になってどうするの!!! どこに助けを求めればいいの!?」

「そっちじゃない、看板の矢印指してるのはこっちだっ!! だからあっちじゃないって!! スタートダッシュがいいのはわかったから、頼むからもっと注意して看板見て走ってくれ!!」


 
 一方的に指定されたのは、ナツの早漏時間。

 ナツより早くと、ひたすら命懸け。

 それはなによりも、スリリングな3分だった。

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