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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美

「なにしてるの?」
「波瑠さんのスマホアプリと繋いでいた電話回線を、今元の状態に戻すために俺の腕時計に同期させている。あと少しで切り替わる」
「は、は、はい?」
あたしにわかることは、モモちゃんの手首にごつい黒い時計がなされていたということで。○shockに似ている。
「それ、つけてたっけ? つけてプール入ってた?」
するとモモちゃんとじとりとした目であたしを見た。
「……あんたのせいでトイレに駆け込もうとした時、トイレではなく…これを更衣室から持ち出していたんだ。それから、パーカーを着た時はポケットに入れてたけど、それ以外はつけてた。あんたが気づいてなかっただけだ。どうせ興味なかったんだろ、俺のことなんて」
なにやら、不満げにぶちぶち聞こえる。
いじけたようにモモちゃんのお口が尖っていた。
モモちゃんがトイレに走った時?
ああ、ノーパンのお姉さんを触ってしまった時か。
「だったら"出さず"に落ち着いたの?」
それは純粋な疑問だったのに、モモちゃんの顔は瞬間沸騰。
あれだけ顔をしゅうしゅう沸騰させていたのに、まだ勢いよくぼんっと音をたてて沸騰出来るらしい。恐るべし、ピュアボーイの赤面。
「俺はっ、こういうのを弄れば精神が落ち着くからっ」
高IQはそうらしい。あたしは無理だ。逆にイライラするだけ。
「で、それはなに?」
「腕時計風の俺が作った機械。そして波瑠さんのスマホには、俺が開発していたプログラムアプリが既に入っていて、リンクさせている周辺機器、たとえばそのひとつのこの腕時計を動かして、アプリがスタートできる環境さえ整えば、俺が構築してるネットワークサーバーが動く。あらゆる手法でセキュリティーの穴を見つけて、波瑠さん側からいつでも指定した回線を制御出来るんだ。ま、違う媒体でハッキングの連携をしてると思ってくれればいい」
まるで理解出来ないが、電気回線泥棒をしているということだろうか。
モモちゃんの優秀な頭脳が、帝王に捧げられて……。
「それは一体なんのために?」
「え、波瑠さんが支配したいと思った時のために」
見上げた下僕根性。あたしには出来ないし、作れるだけの頭脳がない。

