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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美

――おい、シズ。
気弱な帝王なんて、ED以来。
ねぇ、元気ならもっともっと!!
「ハル兄、会いたいよ――っ」
思わず漏れた言葉に、ハル兄が唾を飲み込む音がした。
「ハル兄もこっち来て、怒っていいからっ!!!」
我が儘だとはわかっている。
だけど、なぜかいつも通りの帝王様を見て安心したいと思った。
「来れないなら、あたし帰……」
『俺も会いてぇ』
やるせなさそうなその声に、あたしの胸がぎゅうと絞られる。
『――だが、ナツだってお前に会いたがってる。頑張ってる』
「……っ」
『お前は今ひとりじゃない。サクラがいる。ナツがいる。……俺といた時、ふたりは邪魔しなかったろう? だったらここはフェアに』
ハル兄は一呼吸おいて言った。
『俺は、待ってる』
そして、ハル兄の声は消えた――。

