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第11章 鬼畜帝王が甘えました

　　
　

　ハル兄の瞳に射抜かれたあたしは、身動きひとつできず、ハル兄の熱く湿った唇が、あたしの唇に強く押しつけられたのを感じた。


「シズ……っ」


　熱い吐息のような掠れた声が吐き出されたのを合図に、ハル兄は荒々しくあたしの唇を食むようなキスをして、質量ある舌をぬるりと口の中に入れてきた。


　ああ、あたしの口が、ハル兄に蹂躙される――。


　暴れるハル兄の舌があたしの舌を捕えて、舌の横をなぞるように舌先で愛撫しながら、ねっとりと絡みついてくる。唾液が垂れそうになると、ハル兄はあたしを見据えたままの目を優しく細めて、指で唾液を拭き取ってくれる。

　荒々しいのに優しいその舌の動きが気持ちよすぎて、次第に足に力が入らなくなってくると、ハル兄の手があたしの尻に巻き付き、あたしの身体を支えてくれるが、深いキスは終わる気配を見せない。

　互いの熱い息がかかる間近な距離で、見つめ合う目をそらさずして、互いに喘ぐような甘い声を漏らしながら、卑猥な水音をたてて舌を絡ませるあたし達。

　あたしはハル兄の手に導かれるようにして、ハル兄の首筋に両手を絡ませて、より身体をくっつけあいながらハル兄の唇の感触に酔い痴れた。


　ハル兄の手があたしのスカートの中に忍び、剥き出しの尻に直接触れ、舌の動きに合わせて、強く弱く揉み込んでくる。刺激を与えられながら、前方からはハル兄の猛った股間を弧を描くようにして押し当てられ、ハル兄の興奮を感じた秘部が熱く潤ってしまう。

　いや、それより――、オスの性を隠そうとはせず逆に盛大に露わにしながら、あたしが欲しいと強く訴えるぎらつくオスの眼差しに、あたしのメスが奮えて蕩けるんだ。ハル兄のそのオスの部分が欲しいと、さざめくんだ。

「……女の顔しやがって」


　唇を離したハル兄が、笑いながら言った直後、その顔が男のものに戻る。


「挿れるぞ」

「え？」

「余裕ねぇ」


　ハル兄が悩ましい息を零して、ベルトをカチャカチャと外し始めた。


「ちょ、待って、え、待って？」


　前戯なしの性急な結合は初めてで。ハル兄を迎え入れられるとは思うけれども、不安が先立ってしまった。