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可愛いヒモの育て方。
第5章 熱
私は麻人の寝顔を見つめた。相変わらず真っ赤だけど、寝息は穏やかだ。そこに安堵する。
考えてみたら、麻人とこんなに密着して眠ったことなどなかったように思う。行為中は感極まってお互いの体を抱きしめることはあったけど、終わってしまえば、あとはあっさりしていた。例えば恋人といる時のような、べったりとした感じはない。それがずっと、楽だと感じていたけれど。
「たまには、こういうのもありか」
つぶやいて、口元には自然と笑みが浮かぶ。
人の温もりは心地良い。こうしてると、麻人の熱すぎる体温が私の体温と同化して、いつか同じくらいになるんじゃないかとさえ思えてくる。
今日は部長とクレーム対応で気疲れしてしまっていたし、絶頂のあとの気だるさもあった。夕飯の支度が一瞬頭をよぎったけれど、麻人にはお粥がある。私の分は適当に済ませばいい。だから決めた。
掛け布団をどうにかかけ、麻人の体を抱きしめて、目を閉じる。本当に熱くて湯たんぽみたい。
カーテン越しに薄く、オレンジの光が差し込み始めていた。
――もう夕方か。
それを最後に、私の意識も落ちていった。