この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
可愛いヒモの育て方。
第9章 夢
「麻人くんと恋愛してみなよ」
「結局そこなんだね。私の意志だけじゃどうにも」
あいつの気持ちは、未だに謎だ。
彩乃とのしみったれた話は、そこで終わりになった。彩乃はそれ以上、何も言ってはこなかった。
マサルの件も、男遊びの件も。最近は、一夜限りのセックスなんてしていない。相手は麻人だけだ。それを彩乃は知っているはずだ。
そういえば、今日の朝、ファミレスで彩乃に同じような説教をされる夢を見た。あれは過去のものだけど、偶然にしては出来すぎていて、なんだか面白かった。
麻人と恋愛。正直、最近一緒にいる時間が多すぎて、今さらこの距離が変わることなんてあるのかと思う。
私たちはそこから普通に話していた。近況報告や、愚痴なんかをダラダラと。
私も明日仕事、彩乃も仕事ということで、一時間くらいで解散になった。
清算を済ませ外に出た時、ふいに彩乃はバッグからメモ用紙を取り出した。白い、シンプルなメモ用紙。二つ折りにされたそれを受け取り開くと、そこには住所が記載され、『リース』と書かれていた。
「何これ」
「マサルさんのお店と住所。マサルさん、奥さんと喫茶店始めたんだって」