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可愛いヒモの育て方。
第9章 夢

「麻人くんと恋愛してみなよ」
「結局そこなんだね。私の意志だけじゃどうにも」

 あいつの気持ちは、未だに謎だ。
 彩乃とのしみったれた話は、そこで終わりになった。彩乃はそれ以上、何も言ってはこなかった。
 マサルの件も、男遊びの件も。最近は、一夜限りのセックスなんてしていない。相手は麻人だけだ。それを彩乃は知っているはずだ。
 そういえば、今日の朝、ファミレスで彩乃に同じような説教をされる夢を見た。あれは過去のものだけど、偶然にしては出来すぎていて、なんだか面白かった。
 麻人と恋愛。正直、最近一緒にいる時間が多すぎて、今さらこの距離が変わることなんてあるのかと思う。
 私たちはそこから普通に話していた。近況報告や、愚痴なんかをダラダラと。
 私も明日仕事、彩乃も仕事ということで、一時間くらいで解散になった。
 清算を済ませ外に出た時、ふいに彩乃はバッグからメモ用紙を取り出した。白い、シンプルなメモ用紙。二つ折りにされたそれを受け取り開くと、そこには住所が記載され、『リース』と書かれていた。

「何これ」
「マサルさんのお店と住所。マサルさん、奥さんと喫茶店始めたんだって」

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