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可愛いヒモの育て方。
第11章 依存
数分後、長めのティーシャツをかぶり、コーヒーを持って部屋に戻り、まだ鳴り続けるバイブの音に眉をひそめた。
さっきからずっと、麻人の携帯は鳴りっぱなしだ。こんな時間に鬼電? 不審に思い、悪いとは思ったけれど、彼の携帯を手に取った。相手が誰なのか確認し、心臓がどくんと高鳴る。
バイブは止み、また留守電になった。電話はまだ切れない。
ようやく鳴り止んだ。
ディスプレイには、七件の着信と五件の留守電。人の携帯を勝手に見るなんて、悪いとは思った。もちろん麻人の携帯を盗み見たことはない。
だけど今回だけは。嫉妬や好奇心じゃなく、酷い胸騒ぎが私を突き動かした。多分電話の相手がその人でなかったら、私はこんなことしなかっただろう。
私はそっと、麻人の携帯を耳に当てた。留守電を順番に聞いた。
『ねえ、麻人? どこにいるの? どうして連絡くれないの?』
絞り出すような猫なで声。すぐに確信した。この前店に麻人を尋ねる電話をしてきた人の声に、間違いなかった。
私はベッドに座り、バクバクとうるさい心臓の鼓動を聞きながら、留守電を聞き続けた。