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可愛いヒモの育て方。
第13章 口移し
次に目覚めた時は、辺りは薄暗かった。一瞬、もう夜? なんて思ってしまったけど、そもそも飲み始めたのが深夜だ。電気が消えていて、一番小さい明かりしかついていないせいだと、かなり遅れて理解した。
二人の話声はしない。酷く喉が渇いていた。起き上がろうとして、まだ体に力が入らなかった。
「あれ、起きました? ……だいぶ酔っ払ってるみたいですけど大丈夫ですか?」
すぐ隣、小声で麻人が話しかけてくる。
「んー……彩乃は?」
「寝ましたよ。そこで、雑魚寝みたいな感じですけど」
「んー……」
酔いが完全にまわっているせいか、口を開くのがだるい。全身が重いような、変な感覚だった。
「喉渇いた」
「水持ってきますね」
麻人が立ち上がる気配。部屋を出て行き、すぐに戻ってきた。
「はい、水。飲めます?」
「んー」
「んーじゃなくて」
再び起き上がろうと試みる。だけど、体に力が入らない。
「……水ちょうだい」
「起きてください。じゃないと零す」
私なりに起きようとしてるんだけど。
「友梨香さん?」
麻人の声が、なんだか遠かった。