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可愛いヒモの育て方。
第13章 口移し
指摘され、羞恥で頬が熱くなる。
「好きなわけないじゃん!」
「しーっ」
ついムキになって声のボリュームをあげてしまう。私は慌てて口元を抑えた。
「ん……」
テーブルの向こうから、彩乃の声がきこえた。二人で上体を起こし、彩乃の様子をうかがう。どうやら寝返りをうっただけらしく、またすぐに毛布が規則ただしく上下しはじめた。
それを見て、私たちはほっと胸をなでおろした。良かった。ちゃんと寝てる。
「もう、友梨香さんのバカ」
「……ごめん」
もとはといえば、麻人が意地の悪いことを言ってくるからなのに。
ふいに麻人が、コップの水を手渡してきた。
「ありがと」
「今度はちゃんと一人で飲めます?」
「もうへーきだっつの」
正直、まだ全身けだるくて、酔いもそこそこ残っていると思う。二日酔いはほぼ確定かもしれない。それでも、さっきよりはだいぶ回復した。水くらい飲める。
喉が渇いていたのもあって、私は渡された水を、いっきに飲み干した。
「ぬるい」
「飲まずに放置しとくのが悪い」
ごもっとも。
唐突に、麻人が膝をついて立ち上がった。