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可愛いヒモの育て方。
第14章 就活
「もう、だから言ったのに」
苛立ったような、心配するような声。
ふいに麻人に体の向きを変えられ、背にも腕がまわされた。そのままふわりと、体が浮く。抱きかかえられたことを、ぼんやりと理解する。
きつい吐き気に目を閉じた。二日酔いの酷いときみたいな感覚。
浴室を出て、脱衣所のマットの上にそっと横たえられた。
「気持ち、悪い……」
「だから飲みすぎ。吐きそうなんすか? 風呂場で吐く? てかその前に体拭いて服着ないと風邪引きますって」
バスタオルでちゃっちゃと私の体を拭きながら、麻人はため息をついた。それがむしょうに寂しくて、麻人の腕を掴む。
ため息なんてつかないで。迷惑そうに怒らないで。
「――すき」
衝動のまま、口走っていた。酒のせいかと言われれば、否定はできない。だけど今の私の、本心には違いなかった。
麻人は一瞬だけ、私の体を拭く手を止めた。
吐き気と、ぐらぐらする感覚はおさまらない。目を閉じたまま、開くこともできない。体調のせいだけじゃない、麻人の顔を見るのが怖かったからだ。