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可愛いヒモの育て方。
第14章 就活

 毛布をすっぽりかぶり、麻人の声をシャットダウン。だけどすぐに剥ぎ取られた。

「音楽でも聴きましょうか。おススメのありますよ?」
「ムリ、ガチで今はムリ。てかあんたが好きなジャンルはロックだろ。アホ、殺す気か」

 毛布を再び奪い取り、頭までかぶる。
 麻人のため息がきこえた。
 それ以上は何をしてくることもなく、麻人の気配が遠ざかる。かぶっていた毛布を鼻の辺りまでまくり、部屋の様子を窺うと、麻人が部屋のドアを開けるのが見えた。そのまま部屋から出て行ってしまう。
 置き去りにされ、心細くなった。本当に、何やってんだか。今日休みをもらえたからって、ハメを外しすぎた。
 私は首をまわし、携帯を探した。見当たらない。時間を確認したかったけれど、起きて探す気にはなれず、早々にあきらめた。そういえば、彩乃は?

「まあいっか」

 頭が痛いと、何かを考える作業がつらい。
 ぼんやり天井を眺めていると、数分で麻人が戻ってきた。
 お盆を持って。

「……何それ」
「おじや。これ食べて薬飲んでください」
「おじや!?」

 自分の声が頭に響いて、私は右手でこめかみの辺りを抑えた。
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