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可愛いヒモの育て方。
第14章 就活
そこが一番不安なところだ。
「どうだろ。何も言ってなかったし、多分バレてないと思いますけど。たまたま目が覚めて、俺たちがいないことに気がついて、脱衣所で物音がしたから来ただけって言ってました。二人で風呂入ってたのはバレただろうけど、あんま突っ込んでこなかったですよ。二人とも酒入ってんだから、おとなしくしてなさいとは言われたけど」
「なるほどね」
彩乃らしい、クールな反応だなとは思うけど。友達が素っ裸でぶっ倒れてるんだから、もう少し慌てろよ。
「今日バイトないの?」
おじやを食べ終え、薬を飲みながら問いかける。
「ないですよ」
麻人は隣で携帯をいじりながらそう答えた。
それからふいに顔を上げ、私をちらりと一瞥する。
「友梨香さん」
「ん?」
どことなく、ためらいがちに。少なくとも私はそう感じた。名前を呼ばれ、私は軽く首をかしげた。
「何?」
何かを言いたげに口を開いて、すぐに閉じる。
「頭痛いなら、もう少し寝たらどうです?」
「え? ……んー、じゃあもうちょっと寝ようかな」
私の名前を呼んでからの、わずかな間。そこに違和感を覚えながらも、けだるさを感じていた私は麻人の言葉に素直に従うことにした。どうせ今からどこかに出掛けるなんてできないし、そんな元気もない。
「その間、パソコン借りてていいですか?」
「どーぞ、ご自由に。あ、おじやとか、ベッドに運んでくれたのとかいろいろありがとね。おやすみ」
「はーい。おやすみなさい」
麻人が立ち上がる。盆を片付けにキッチンに向かった。その姿を見送り、私も横になる。
起きたら彩乃にも、一言メールしよう。そんなことを考えながら、眠りについた。