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可愛いヒモの育て方。
第14章 就活
次に目覚めた時は、夕暮れ時だった。カーテンの隙間から、オレンジ色の光が差し込んでいる。
やばい。結局一日中寝てしまった。薬のおかげか、ぐっすり眠ったからか、頭痛はほとんどおさまっていた。寝すぎた時のだるさだけは体中に残っているけれど、二日酔いはほぼ治っている。
部屋に麻人はいなかった。妙なところが律儀で、戸締りにうるさい麻人は、私に黙って帰ることはしない。私が寝てるときは、起きるまで待つか、起こしてから帰る。だからまだ、帰ってはいないはずだ。夕飯でも作ってくれてるんだろうか。
電気のついていない室内は、薄暗かった。パソコンの明かりだけがちかちかと光っている。
「あいつ、また私の小説読んでないよな」
うっかりそのことを失念していたけれど、麻人には前科が何度もある。
私はベッドから出て、ディスプレイを覗いた。
「え?」
だけどそこに映し出されていたのは、私が書いた小説でもなく、麻人のレポートでもなく、就職支援のサイトのページだった。
「あ、起きたんすか?」
麻人の声に振り返る。
部屋のドアの前に、彼の姿があった。