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可愛いヒモの育て方。
第15章 喫茶店
私はチョコ味のクッキーを口に入れた。サクサクした食感と、あまりしつこくない甘さが絶妙で美味しい。続けてバニラの方を口に放り、咀嚼する。こちらも同様に、甘さ控えめで美味しい。
店長が淹れてくれたコーヒーを飲みながら、私たちは十分ほど休憩した。
「ふう」
飲み終わったカップを置き、私は軽く伸びをした。
「よし、仕事戻るか」
「はーい」
店長も、再び書類へと視線をむける。私はマグカップを片付けようとして、ふと思い当たって尋ねた。
「そういえば、なんてお店なんですか? これ売ってるところ」
「店っていうか、喫茶店なんだけどな。結構最近できたとこで、若い夫婦が経営してるんだよ。……なんだったっけなー、名前。やべー出てこねー」
「はは、ぼけちゃったんですか?」
「うるせー」
私は笑った。まだ四十半ばだというのに、従業員の名前も時々思い出せない時があるのだ。
店長は頭を抱え、眉間に皺を寄せて必死に思い出そうとしていた。私は笑いをこらえ、店長が思い出すのを待つ。