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可愛いヒモの育て方。
第15章 喫茶店

私はアパートに帰るなり、あのメモを探した。麻人が私の家を出て、三週間ほど。部屋の中は女の一人暮らしとは思えないほど、散らかっていた。
言い訳になるけれど、正直掃除している暇も気力もなかったのだ。仕事に忙殺されて、うちに帰ればシャワーを浴びて寝るだけの日々。
「やっぱ見つかんない」
自分の管理能力のなさに泣けてくる。
鞄の中、床、テーブルの上。一通り漁ったけれど、見つからなかった。捨てた覚えはない。だけどあんな紙切れ、何かに紛れて捨ててしまっていてもおかしくない。
諦めかけた時。
ふいに思い当たり、私は急いでアパートの駐車場に向かった。車のダッシュボードを開ける。
「あった!」
車検証やらCDやらが乱雑に放り込まれている中、メモ用紙を見つけた。
あの日ファミレスでメモ用紙を貰った時、むしゃくしゃしたままダッシュボードに突っ込んでおいたことを思い出す。もちろん、マサルに会いに行くつもりはなかったけれど、どうしても捨てられなかった。そのまま忘れていたのだ。
住所、電話番号、喫茶店の名前である、『リース』。

